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ポール・M・ヴォルター [PICK UP ITEM]

ポール・M・ヴォルター

Poul M. Volther

ポール・M・ヴォルター

( 1923-2001 )
デンマーク

代表作である「コロナチェア」を世に送り出したデンマーク出身の家具デザイナーです。
モダンデザインを演出したフォルムや豊富なカラーバリエーション、そしてよりリラックスできる姿勢で寛ぐことができるデザインで多くの人々に愛され続けています。

デンマークで生まれたヴォルターは家具デザイナーとして有名ですが、同時に家具職人としての実力も一流でした。
初めはキャビネットメーカーで修行を積んでいましたが、その後はコペンハーゲンの美術工芸学校に入学して家具デザインを学びました。機能主義を信仰していたことから、流行によるデザイン製作を避け、シンプルなデザインと質の高い素材を用いたデザイン製作に力を注ぎました。
この時代は、高い職人技を持つ若い建築家が多いことからヴォルター自身も経験を積み、それと同時にデザインスクールの教師として多くの学生を前に教鞭をとりました。

その後、1949年には同じくデンマークの家具デザイナーであるハンス・J・ウェグナーの支援を受けて、デンマーク生活協同組合連合会(FDB)に入社します。1959年にボーエ・モーエンセンに代わりデザインマネージャーを引き継ぐと、新たなデザインや素材を使ったよりシンプルなウィンザーチェアシリーズをデザインします。

ヴォルターの代表作とされる「コロナチェア」が1964年に発表されました。ただし実際には、コロナチェアの原点ともいわれるデザインは、1953年に彼が手がけたピラミッドチェアだとされています。
コロナチェアは、皆既日食の連続写真をみたときに発想を得てデザインされたと言われています。オリジナル作品は、木製の骨格で成り立っていたため、当時の技術としては最先端の発砲素材とスチールフレームを改良されたのちにデンマークのエリック ヨーゲンセン社から発売されました。
現代でも高い人気を誇るムカデのような特徴的なデザインのコロナチェアはとても安定感があり、身体の大きさに合わせて配置できるため座り心地の良さを追求できます。

コロナチェアはドイツのケルン家具見本市に展示されていましたが、その斬新な発想と先端的なデザインはその当時は理解されませんでした。しかし、エリック・ヨーゲンセン社が諦めることなくコロナチェアの素晴らしさを伝えようと活動を続けていると、1997年の同見本市やコペンハーゲンの見本市に展示されることになり、そこでようやく家具デザインの歴史的傑作だと高く評価されました。
大成功を収めたコロナチェアは、2002年のコペンハーゲンで行われたEU首脳会議の椅子として使われるほどの評判を受けましたが、奇しくも彼はその年の1年前に亡くなりました。

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